ニーズを生み出すチカラ。圧倒的なファンの想いが、心を動かす
廃盤の危機にあったスタッフの愛用品が、長く売れ続ける商品に。商品への想い、試しやすい価格、お客さまのレビューが需要を育てた経験と、販売数を利益につなぐための課題を綴ります。
コラム|スポーツ用品店の経験から
「この商品を、廃盤にしたくない。」
あるスタッフのその想いが、ひとつの商品を長く売れ続ける商品に変えました。今回は、私たちが運営するスポーツ用品店での経験を綴ります。
廃盤の危機にあった、スタッフの愛用品
当時、廃盤の危機に瀕していた商品がありました。実は、当社のスタッフが長く愛用していた商品です。
なんとしても、この商品を残したい。その想いから、商品ページに特徴や使い心地を、自分たちの言葉で書き込みました。
メーカーのカタログを転載するだけでは伝わらない、愛用者だからこそ分かる良さ。どこが好きなのか、使っていてどう感じるのか。そうした実感を、独自の表現で伝えたのです。
今振り返ると、少し熱が入りすぎた表現もありました。それほど、この商品への想いが強かったのだと思います。
すると、多くの反響が生まれました。その商品は、ショップ内の販売数ランキングで、長年にわたり上位に入るようになったのです。
独占販売品ではありません。他のお店でも買える商品でした。それでも、全国のショップの中で、当店が突出して売る状況を生み出せました。
試しやすい価格が、最初の一歩をつくった
なぜ、長期にわたって販売数を伸ばせたのでしょうか。私は、二つの要素があったと考えています。
一つ目は、価格です。
この商品は昔ながらの価格で販売されており、他の商品に比べて三割ほど安いものでした。
商品説明を読んで興味を持った方が、「この価格なら、ちょっと試してみよう」と手を伸ばしやすかったのです。
熱量のある説明が関心を生み、手頃な価格が購入への一歩を後押しする。その組み合わせが、最初の購入につながったのだと思います。
ただし、価格が安い分、私たちに残る利益も小さい商品でした。この点は、後ほど触れます。
一人のファンの想いが、お客さまの声になった
二つ目は、共感してくださるお客さまの存在です。
購入して実際に使った方が、商品説明に共感し、レビューを寄せてくださいました。その声が積み重なり、次のお客さまが購入を考える材料になっていきました。
最初は、スタッフ一人の愛用品でした。それが、お客さまにも良さを実感していただける商品になったのです。
スポーツ用品のカタログには、機能や数値が載っていても、使う人の実感や、その商品ならではのこだわりが十分に書かれていないことがあります。
私たちの商品ページには、その部分の情報がありました。
使ったときの感触や、心地よさ。数値だけでは表しにくい感覚を言葉にしたことも、共感につながったと感じています。
もちろん、感想と客観的な性能は区別する必要があります。そのうえで、愛用者の実感は、商品を選ぶ人にとって大切な情報になるのです。
スタッフの言葉に、お客さまの体験が重なる。そうして、根強い需要が育っていきました。
売れ続ける商品にも、事業としての課題がある
この経験には、課題もありました。
販売数が増えても、単価が低く、一件あたりの利益は大きくありません。さらに、この商品を売ることで、より利益の大きい別の商品を販売する機会を失っていた面もあります。
販売数ランキングの上位に入ることと、事業に十分な利益が残ることは、別々に考える必要がありました。
いま同じ状況に取り組むなら、この商品を通じて生まれた信頼を、次の購入や関連商品の提案へどうつなぐかまで設計したいと思います。
お客さまが好きな商品を買い続けられること。その商品を扱うお店も、無理なく販売を続けられること。両方が成り立ってこそ、長く残せる商品になります。
商品への想いを、続けられる商売につなぐ
この商品には、もともと良さがありました。しかし、その良さが十分に伝わらず、廃盤の危機にありました。
そこに、商品の魅力を自分の言葉で伝えられるファンがいました。そして、その想いを受け取ってくれるお客さまがいました。
他のお店ではなかなか売れていなかった商品に、長く続く需要を生み出せたことは、私たちにとって大きな経験です。
商品の魅力を深く理解し、伝え、試していただく。購入した方の声が、次の方の背中を押す。そこには、広告費を増やすだけではつくれない販売の力があります。
一方で、その力を事業の成長につなげるには、価格や利益、次の購入まで考える必要があります。
ファンの想いで需要を育て、その需要を、利益が残る仕組みにつなぐ。
この経験は、私たちが販売と運用を一緒に考える理由のひとつになっています。
