Shopifyで海外に売れても、利益が分からない。発送後まで見る越境ECの設計
決済・FedEx連携・商品登録・税金の確認。自社で越境ECに取り組む中で分かった、サイトを開くだけでは終わらない仕事と、注文別の採算をつなぐ考え方です。
実践ノート|第6回/全7回
越境ECは、海外向けのページを用意して商品を登録すれば始められるように見えます。ところが自分たちで取り組むと、決済の設定、FedExとの連携、商品情報、発送、税金、問い合わせなど、販売前にも後にも多くの仕事があることを実感します。
私たちがShopifyを選んだ理由の一つは、国際発送に関わる税金を自動計算できる機能でした。ただ、それだけですべて解決するわけではありませんでした。特にブラジル向けの税金の扱いでは、簡単には進まない場面を経験しています。
自動計算があることと、確認が不要なことは違う
Shopifyの公式ヘルプでも、チェックアウトで徴収する関税・輸入税は見積もりであり、HSコードや原産国などの商品情報、DDP対応の配送条件の確認が必要だと説明されています。機能を有効にするだけで、すべての注文条件が確定するわけではありません。
ここで伝えたいのは、特定の国の税率や正解ではありません。販売国と商品ごとに、誰が税金を負担し、誰が支払い、差額や追加費用が出たらどう対応するかを、運用として確認する必要があるということです。個別の規制、認証、税務登録、現地法人の要否も、その商品の販売方法に合わせて、現地当局や専門家へ確認します。
どこで売るかと、どこから届けるかを一緒に決める
Shopifyは、販売の枠組みの一つです。自社サイトでお客さまとの関係をつくる方法もあれば、海外AmazonやShopeeなど、すでに買い手がいる場所を使う方法もあります。どちらを選ぶかは、出店条件だけでなく、販売手数料、顧客対応、在庫、配送、入金の条件まで並べて考えます。
日本から個別に発送するのか、海外の現地倉庫へ在庫を置いて届けるのかでも、必要な仕事は変わります。現地倉庫を使えばよいという単純な話ではなく、まとめて送る費用、保管、出荷、返品、在庫に留まる資金を含めて比較します。まず一つの商品、一つの販売国から条件を確かめる方が、次の判断をしやすくなります。
売上の画面と、発送後の請求をつなぐ
私たちは現在、自社のShopify運用を起点に、注文、決済、送料、原価をつなぐ利益集計に取り組んでいます。完成済みの万能な仕組みとしてではなく、実際の運用で出てくる差を確認しながら改善しているところです。
注文時点で見込んだ費用と、後から確定する配送費などを分け、同じ注文番号で照合できるようにする。通貨が異なる取引では、金額だけでなく、通貨と円換算の基準もそろえる。未確定の費用をゼロとして扱わず、まだ分からないことを見えるようにする。この考え方が、集計の出発点です。
売上から何を差し引いた数字なのかを明示し、会計上の利益や会社全体の資金繰りとは区別します。採算の薄い国や配送条件が見つかれば、価格、配送方法、売る場所を見直せます。集客を増やす判断にも、発送後まで見た数字が必要です。
今日のドリル:一件の注文を、配達後まで追う
販売国、販売先、商品、発送元、配送条件を一行で書く。配送の契約先と税金を負担する人も確認する。
注文代金、決済手数料、商品原価、梱包、配送、実際に負担したその他の費用を、確定・未確定に分ける。
代金の入金日と各費用の支払日を並べ、注文を増やす前に解消したい差を一つ選ぶ。
初期準備を自分で調べて進められる方は、進めていただいてよいと思っています。時間を短縮したい設定や、既存ツールでは途切れるデータ連携は、支援や個別開発の対象になります。まず何が分かっていて、何がまだ確認できていないかを整理することから始めます。
海外へ売ることと、利益を残して届け続けること。その間にある仕事を、ひとつずつつないでいきたいと考えています。
